病理診断科?病理部は、各診療科から得られる種々の情報に基づいて、病理診断、細胞検査と細胞診断を日常業務としています。さらに、病態の成り立ちを、主に形態学的側面より解明する部門です。
適切な治療は正確な病理診断に基づいて行われます。病理診断件数は増加の一途ではありますが、病理診断を専門とする「病理医」の不足は極めて深刻です。当科では大学内外、国内外の施設と協力して病理専門医、細胞診専門医を育成?輩出したいと思っております。また、形態学を基本とした研究を支援?推進します。
摘出された臓器を肉眼的に観察、写真撮影後、必要十分な「切り出し」を病理医主導で行い、臨床検査技師が顕微鏡標本(組織標本)を作成します。病変の形、大きさ、位置関係などを総合的に評価し、診断?治療に役立てます。
病理専門医、病理専門医を目指す医師、細胞検査士と細胞診検査を目指す臨床検査技師を配置し、日々の病理検査?病理診断業務に対応しています。組織検査は年間約9,000件、細胞診検査は約6,000件、術中迅速診断検査は約800件実施しています。
外来、病棟、手術室から提出されるすべての検体(臓器、組織、細胞)を対象としています。組織検体は「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規定(日本病理学会、2019)」にしたがって処理しています。
いきなり顕微鏡で標本をみるのは病理診断ではなく当て物です。
「病理診断」とは十分な臨床情報のもと摘出された臓器をレントゲンや内視鏡の画像と対比させながら肉眼的に観察することから始まります。その後、臨床検査技師と臨床医の協力のもと、病理医主導で病変部やその周辺部を切り出し、標本化します。
病理標本の作成は、HE(ヘマトキシリン?エオジン)染色標本が基本ですが、必要に応じて特殊染色、免疫組織化学さらにin situ hybridization(ISH法)などの特殊検査を加えて詳細に検討し報告する体制を整えています。
我々が専門?得意とする分野については外部医療機関からコンサルテーションを随時受け付けていますし、希少がんなど当科で確定診断が困難な症例に関しては臆せず外部の専門家にコンサルテーションしています。
剥離細胞診や穿刺吸引細胞診などの細胞診も病理診断科の重要な業務であり、細胞検査士とともに正確で迅速なスクリーニング結果と診断を提供できるよう日々努めており、細胞診専門医と細胞検査士の研修施設としての役割も担っています。
病理解剖(剖検)も病理診断科の大切な業務のひとつです。臨床診断?治療の妥当性を検証するとともに、学生の卒前?卒後医学教育にとっても極めて重要な分野です。病理解剖は病理学講座(人体病理学部門、疾患制御病態学部門)と協力して担当しています。
診断をする前に何よりも重要なことは「医療安全」であり、当科では検体の取り違えを未然に防ぐ仕組みを構築し「確認」を徹底しています。
また、病理?細胞診断結果が妥当であったかどうか検証する必要があります。病理学的な所見と臨床データとの整合性を十分に対比?検討するため臨床各科や院外とのカンファレンスを積極的に行っています。
かつて、当科と大学の病理学講座(人体病理学部門、疾患制御病態学部門)とは見えない壁がありました。平成26年(2014)年以降、その垣根を完全に取り払い、滋賀県内外の関連施設の協力のもと、病理専門医の育成に力を入れています。
万博水晶宫内外から若い先生方が集まり、臨床医や細胞検査士を交えながら日夜楽しく研修しています。
病理診断科専門研修プログラムの詳細はこちらをご覧ください。なお、選考基準は見学に来ていただいた際(あるいは初期研修医ローテート時に)、当科のスタッフの多くが「これからも一緒に仕事をしてみたい」と感じる方を優先します。
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