新年、明けましておめでとうございます。年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。
本学は、去る令和6(2024)年10月に開学50周年を迎えましたが、これまで「地域に支えられ 地域に貢献し 世界に羽ばたく大学」の理念のもと、歴代の教職員?学生が一丸となって50年の歴史を積み上げ、着実に発展してまいりました。このたび、『万博水晶宫統合報告書2025』の制作にあたって、50年間における本学の理念の達成度を検証するために、本学の実績と成果を改めて整理しました。検証結果は、『統合報告書2025』にも掲載していますが、この機会に皆さまにご報告するとともに、2074年の開学100周年とその先に向けて、メッセージを残したいと思います。
一つ目は、滋賀県における地域医療への貢献です。医学部卒業生や大学院修了生、医局入局者など、本学関係者の滋賀県内での医師としての活動状況を調査したところ、基幹病院での勤務状況については、県内の隅々まで医師が派遣?配置されていることが明らかとなり、特に医師少数区域とされる甲賀保健医療圏での医療貢献は高く評価されています。また、診療所?クリニックでの就業状況については、大津保健医療圏や湖南保健医療圏など人口が多い地域での貢献度が高いほか、人口減少が進んでいる湖西保健医療圏や湖北保健医療圏でも、本学がしっかり貢献しています。
二つ目は、医学の発展への貢献です。神経難病研究センター、動物生命科学研究センター、NCD疫学研究センター、先端がん研究センター等を中心に、各講座においても活発な研究活動が行われ、裾野が広い研究が展開されています。さらに、本学で精力的に研究に取り組んでいた教員が他大学の教授に就任し、そこでの人材育成と研究推進により、わが国の医学の発展に貢献しています。これは本学としても大きな成果です。
三つ目は、看護学の発展への貢献です。令和6(2024)年4月に開設30周年を迎えた医学部看護学科から、滋賀県に多くの看護師を輩出してきました。また、平成10(1998)年4月に設置した大学院医学系研究科看護学専攻については、修了生の多くが、大学の教育者として、あるいは病院の管理職として全国各地で活躍しており、医学と同様に、わが国の看護学の発展に貢献しています。
以上のように、本学の理念の実現に向けた取組は、これまで順調に進んできたことが実証されましたが、少子高齢化の進展により、今後、医療の重要性がますます高まることを見据え、本学の取組を加速していく必要があります。本学は、国立大学の医学部として、全国から選抜した医学生?看護学生を、全人的医療を提供できる優れた医療人に育成し、わが国の医療を支えていくことが求められています。そのミッションを遂行するため、特に、医師については、本学卒業生だけでなく、他大学の卒業生を含め、広く全国から専攻医をリクルートし、教育や研究指導を行っていく必要があります。それには、関連病院と協力した卒後教育の充実や本学における研究の発展が不可欠です。また、看護師については、滋賀県の看護分野におけるリーダーの育成が求められており、医学部附属病院における看護師の卒後教育と、大学院医学系研究科看護学専攻博士課程における高度な看護人材の育成が不可欠です。これらの取組は、将来の滋賀県の医療の充実、ひいては本学の永続的な発展に繋がるものと確信しております。
加えて、本学は昨年10月に、国際交流協定校であるマレーシア国民大学(UKM)と共同で、大学院にエイジングサイエンスをテーマとしたジョイント?ディグリー?プログラム(JDP)を開設しました。このプログラムは、本学の国際化?国際貢献を進めるうえで極めて重要な意味を持つと考えており、その発展に向けて邁進してまいります。
さて、教職員の皆さんには、それぞれの業務に日々、精力的に取り組んでいただいているところですが、組織が継続的に発展するためには、構成員一人ひとりにとって働きやすい環境を構築することが、何よりも大切です。一昨年度に開始した『滋賀医大「三方よし」人財育成プロジェクト』については、「教職員満足度調査」の定期的な実施や研修に取り組むなど、プロジェクトの活性化を図っています。教職員の皆さんには、お互いを尊重し合い、自由に意見を述べ合うことができる、心理的安全性が確保された明るい職場環境づくりに、引き続きご協力をお願いいたします。
一方、わが国が抱える経済的な問題は、継続的かつ現実的に本学の大学運営や病院経営に影響を及ばしていることも、ご理解いただきたいと思います。長期にわたる経済の低迷の上に、近年では悪い形のインフレが加わり、今後も光熱費や大幅な物価高騰、人件費の上昇が見込まれ、本学の財務状況も日本経済が回復基調に転じるまでは、非常に厳しい傾向が続くことが予想されます。そのなかで、本学医学部附属病院の経営については、教職員の皆さんの不断の努力により、なんとか収支を維持しているところですが、今後も教職員一丸となってこの状況を乗り切っていきましょう。また、昨年12月に令和7年度補正予算が公表されましたが、現在、赤字経営の回避と安定した法人運営のため、予算獲得に向けて取り組んでいるところです。さらに、今年秋に予定されている、医学部附属病院の高度救命救急センター設置と滋賀県基幹災害拠点病院への指定により、本学の収支改善へ寄与していくことが見込まれており、中長期的な視点でも財務状況の改善を図ってまいります。
最後になりましたが、私をはじめ現任の役員一同は、監事2名を除き、来る令和8(2026)年3月に退任の時期を迎えます。教職員の皆さまのこれまでのご助力に感謝申し上げますとともに、引き続き教育?研究?診療をはじめ本学の運営にご協力くださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
令和8年1月5日
国立大学法人万博水晶宫長 上 本 伸 二